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人の痛みが分かる子に育てよう

心の話 子育ての話
心の話 子育ての話

 皆さん、こんにちわ。暑さが和らぎ、過ごしやすい実りの季節となりました。この実りのご守護に、感謝の心を忘れずに過ごしたいものです。

 

 夏休みに家族で京都の神社仏閣に行きました。そこには、健康祈願や交通安全、受験合格など人間の努力や力だけでは及ばないことを、神様にお願いするお守りなどがありました。人は、難儀や苦労が無く、願い通りに人生が歩めればと思うのです。そんな願いを叶えて貰うのが神様であるわけです。

 

 天理教の教祖おやさまは『貧に落ち切れ。貧に落ち切らねば、難儀なる者の味が分からん』と仰せられました。苦しみや難渋を救うのが神であるのに、進んで難儀するように言われたのです。実際、このお言葉が通り、親神様がおやさまに天下られてからは、家や身分を捨ててまで施しをし貧のどん底に落ちられ、どんな人からも慕われていたおやさまが、神様になられてからは、周囲にはきつねつきや気の違いだと言われ、家族や親戚からは「人を苦しめるのが神のすることか」と責められました。

 

 私は数年前、天理教の学生会のスタッフとして、学生と関わる機会を与えていただきました。その時に出会った大学生が、自分がひどいイジメをしてきた事を話してくれました。イジメをした理由が、自分がイジメられた時に、イジメられる方が悪いと言われ、イジメられる側からイジメる側になったそうです。そんな時に、天理教の学生会に出会い、心が変わったそうです。

 

 イジメられていたのに、イジメられる子の気持ちが分からなかった。少しでも、相手の気持ちが分かれば、人を傷つけることもなく、自分の心も傷つくこともなかったと思うのです。人生は、楽しいことばかりではなく、苦しい時や辛いこと、悩んだりすることがあります。でも、それはすべて、人の身になれる優しい心を作ってもらうための出会いであるのです。我が子も、人から傷つけられた時があります。その時にこそ、優しい心になれるチャンスだと捉えて、人の苦しみや人の傷ついた心を感じることが出来る心、相手の身になる心を話します。

 おやさまは、陽気ぐらし世界実現のために、相手の身になる心になるように「難儀、苦労をしなさい」と教えられました。病気になったら、病気になった人の苦しみが分かる。それが分かれば、優しい言葉を掛ける事が出来るのではないでしょうか。子は親の親は子の身になる。男は女の女は男の身になる。妻は夫の夫は妻の身になる。若者は年寄りの年寄りは若者の身になる。社長は社員の社員は社長の身になる。それぞれが自分のことよりも、相手の身になることが出来れば、陽気ぐらしが味わえるのです。

 

 陽気ぐらし世界とは、天国や極楽のようなあの世に救いを求め、苦の無い世界に行くのではなく、この世界で、難儀苦労をする中で、人の痛み知り、助け合いをしていく世界であります。イジメの問題も、我が子がイジメられないようにすることよりも、人の痛みが分かる子に育てることの方が、イジメが無くなるのではないでしょうか。